紫外線吸収剤は、その名の通り「紫外線を自ら吸収する」特殊な分子構造を持った化学物質です。熱などのエネルギーに変換して外に放出する「科学的な処理」を行います。着け心地が軽く、無色透明で仕上がりが美しいため多くの製品に取り入れられています。
成分名:メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクトクリレンなど。
UV-Bをブロックするのが得意な成分とUV-Aを防ぐのが得意な成分・どちらも守れるハイブリッドな成分があります。
メリット
1. 白浮きせず、透明感のある仕上がり
無色透明のためベースメイクの邪魔をしません。ボディ用にも向いています。
2. テクスチャーがなめらかで、伸びが良い
サラッとした使い心地の製品を作りやすく、ジェルタイプや乳液(ミルク)タイプ、スプレー、スティックなど、多様なみずみずしい質感を実現できます。
3. 高いUVカット率(SPF/PA)を出しやすい
少量の配合でも効率よく紫外線を吸収してエネルギーに変えることができるため、高い防御値を出しやすいのが最大の強みです。
デメリット
1. 肌への刺激や乾燥を感じることがある
敏感肌の型や肌バリアが低下している人にとっては、ピリピリとした刺激や赤み、かゆみの原因になることがあります。
2. 時間の経過とともに防御効果が低下しやすい(光劣化)
成分自体が紫外線を吸収して身代わりとなるため、光を浴び続けることで成分の構造が少しずつ変化(劣化)していきます。
3. 環境(海洋生態系)への影響
近年、特定の紫外線吸収剤がサンゴ礁の白化現象(死滅)を引き起こす原因物質として世界的に問題視されています。
POINT
紫外線吸収剤の成分が皮膚に吸収されたという研究結果も。ただし、日本で売られている商品は安全性が高くそのような事はありません!
紫外線吸収剤は、肌の表面で紫外線をキャッチし、それを「熱エネルギー」に変換して放出することで紫外線を防ぎます。このときに発生する熱はごくわずかなものですが、肌の表面温度がわずかに上がることで、肌の水分が蒸発しやすくなり、乾燥(インナードライ)を感じることがあります。
また、日焼け止め、特に「崩れにくい」「サラッとした仕上がり」を謳う製品には、汗や皮脂を吸収するパウダーや揮発性の高いオイル(シクロペンタシロキサンなど)が多く配合されています。
紫外線吸収剤の濃度が高い高SPF製品ほど、ベタつきを抑えるためにこれらのサラサラ成分が一緒に配合される傾向があり、これが肌の必要な皮脂まで奪ってしまうことがあります。
肌の上で化学反応を起こす吸収剤(ケミカル)とは異なり、こちらは「肌に優しい物理的なバリア」を作る成分です。赤ちゃん用、肌が敏感な人用の製品、あるいは「ノンケミカル」と書かれた製品には、必ずこの散乱剤が使われています。
成分名:酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、水酸化Al、シリカ など
水酸化Alは白浮きを抑えて金属が直接肌に触れるのを防ぎ、肌への安全性をさらに高めるために欠かせない成分!
POINT
光劣化を起こさないため、汗で流れない限りバリアが続きます!
メリット
1. 肌への刺激が少なく、敏感肌でも使いやすい
肌の表面で紫外線を物理的に反射させるだけなので、肌の上で化学反応(熱への変換など)が起きません。
※酸化亜鉛、酸化チタンは金属由来の成分のため、金属アレルギーの方は使用をお控えください。
2. UVカット効果が長持ちする
成分そのものが紫外線を浴びても変質・劣化しない性質を持っています。汗や摩擦で日焼け止めが物理的に流れ落ちない限り、効果が持続します。
3. トーンアップ効果がある
白い粉状の成分のため、フェイス用のトーンアップクリームによく使用されています。
デメリット
1. 白浮きしやすく、肌が不自然に白くなることがある
最近はベージュやピンクなど、色付きのクリームが主流になりつつあります。
2. きしみ感やゴワつきがあり、伸びにくい
粉体をオイルや水に分散させているため、多く配合するともったりとしており、テクスチャーが苦手という方もいます。
3.毛穴に詰まりやすく、落とすのにクレンジングが必要
肌の凹凸にしっかりと密着して物理的な壁を作るため、しっかり肌に残りやすい性質があります。
「酸化亜鉛」は皮脂を吸着する性質もあるため、毛穴に詰まりやすく、落とし方が不十分だとニキビや肌荒れを引き起こす原因になります。近年では酸化亜鉛フリーの商品が増えてきました。しかし、シワやたるみの原因になる「UV-A」をブロックする効果が高い事や、酸化チタンに比べて透明感が高く、サラッとした使い心地を作れる優秀な成分でもあります。
粒子をナノ化して潤いで包む技術など、研究が進む事により使いやすい商品も増えています。したがって、一概に避けた方が良いという成分ではないでしょう。気になる方は酸化チタンや他の紫外線吸収剤が使用されたハイブリッド型を試してみてください。
PONT
皮脂を吸着し肌をサラサラに保つ効果もあるので脂性肌の方にもおすすめですよ!
UVカット率の高さを選ぶなら紫外線吸収剤、持続性と安定性を求めるなら紫外線散乱剤を選ぶ事をおすすめいたします。また、メリットのいいとこ取りをした「ハイブリッド型」の商品も多く存在しています。敏感肌の方は紫外線散乱剤のみが使用された「ノンケミカル」商品、または酸化チタンや酸化亜鉛が成分表の上位に記載されている商品を選ぶといいでしょう。
POINT
紫外線吸収剤は乾燥を感じる場合があるため、"美容成分配合"の商品を探してみてください!
日焼け止めに書かれているSPF(Sun Protection Factor)の数字は、肌を赤くしたり炎症を起こしたりする原因になるUV-B(紫外線B波)を、どれくらいの時間防げるかという「倍率」を表しています。例えばSPF50ならば、炎症を起こすのが20分後の人だとすると20分×50で1,000分後という計算ができます。
しかし、先に述べたように紫外線吸収剤は光劣化を起こす事や、紫外線散乱剤が汗で流れると効果が落ちてしまうという観点から、やはりこまめに塗り直す事が必要になります。時間の差を表しているためSPF30よりSPF50が効果が高いというわけではありません。ただ数字が多い方が成分の配合濃度が高いため、SPF30を選ぶ方が一般的にはさらっとしている使用感になります。
PONT
気象庁などが発表するUVインデックス(紫外線の強さ指標)が非常に強い(8以上)になる猛暑日などは、何も塗らないと15分前後で確実に日焼け(サンバーンという炎症)が始まり、2〜6時間後には肌が真っ赤に腫れ始めるというデータがあります。